ギンリョウソウ(銀竜草)
植物の花粉伝達戦略
テンナンショウ属の場合
花は見事受粉して実がついています。
しかし、このテンナンショウ属は受粉の仕方が凄いというか恐ろしいというか
テンナンショウ属はムサシアブミなどの一部を除き雌雄異株で
テンナンショウ属の植物は栄養状態によってオスになったりメスになったりする。
つまり、栄養状態が十分でないうちはオスとして雄花をつける。
しかし、地下の肥大した茎に十分栄養を貯めこむとオスからメスに性転換する。
つまり、花は雌花を付けるようになる。
そして、その受粉の仕方が恐ろしいのですが、
ラッパ型の雄花は香りを出して虫を誘い、ラッパ型の花の中に入った虫は滑りやすい内壁を登ることができずに落ちて花の下部の花粉が沢山たまっているところに入ります。
そこで、花粉まみれになるのですが雄花では下部に脱出口が作ってあり花粉まみれになった虫はその脱出口から花粉を大量につけて脱出する。
その後、運悪く同じテンナンショウ属の雌花のラッパ型の花に入ってしまうと、今度は脱出口が作っておらず、死ぬまで花の中を動き回り、たっぷり雌花に花粉を受粉するという仕組みになっているそうだ。
雄花には脱出口があり雌花には脱出口がないという精巧な作りには驚きしかない。
しかし、情け容赦ない生存戦略です。
このテンナンショウ属の植物は、中国では「天南星」として漢方薬として使用することがあるそうですが、全草にシュウ酸カルシウムという毒が含まれているので安易な利用はできない植物だそうです。
食中植物の世界
食虫植物は昆虫や一部の動物から養分を吸収することにより、土壌の養分が不足した大地でも生息できるように進化した植物達です。
その精巧な進化の仕方は、とても偶然の産物とは思えない、高度な知性と戦略を感じる大自然の不思議です。
キナバル山のウツボカズラ属
マレーシアキナバル山に自生する食虫植物のウツボカズラの仲間
ウツボカズラの仲間は全世界で70種類以上いるようです。
分布域としては、ボルネオ島、マレー半島、スマトラ島、シンガポール、香港、フィリピン、タイ、ミャンマー、スリランカ、セーシェル、マダガスカル、オーストラリアのヨーク半島などっだそうですが、特にボルネオ島とマレー半島に多いようです。その中でもキナバル山周辺にはとても多いようなので、ウツボカズラ属の植物を見てみたい方にもキナバル山はいい山です。
キナバル山周辺は、植物の種類は5000種類以上、90種類以上の哺乳類が生息すると言われています。
ちなみに植物の多様性が豊かな日本には6000種類の植物がいるそうです。
私が2018年1月3日に登ったキナバル山は、ボルネオ島の最高峰の山です。
ボルネオ島はマレーシアとインドネシアに二分されており、北がマレーシア、南がインドネシアになっています。
ボルネオ島は、マレーシア側にある霊山です。
神代植物公園の温室内の食虫植物
ゲンリセア属
ゲンリセア属の植物は、植物なのに根を持たず、代わりに茎が地中に延び、逆Y字型の罠を地中に張り巡らせ、土中の微小な動物を捕獲して消化するという特殊な進化を遂げた食虫植物